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その言い分に内心傷つきながらも、たしかにそうだ、と潤は思った。基本的に宴会でのお酌は仲居の仕事ではない。だが時と場合を考えれば、もう少し柔軟にさりげなく対応できたかもしれない。
「ああ……まったくもう」
眼鏡の女性が盛大なため息とともに呟いた。
「だから嫌だったのよ、木村さん酔うと面倒だから」
「なっ……」
男性もなにかを言い返そうと口をひらいた、そのときだった。
「木村さん、ほどほどにしましょうよ。仲居さんはコンパニオンじゃないんですから」
背後で聞こえた優しげな低音が救いの神のように降りてきた。
すぐにそれが聞き覚えのある声だと気づき、はっと振り向いて見上げると、そこには淡い煤色のクルーネックセーターを着た男が立っていた。
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