近くて遠い50cm

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 予定の時間よりも大分早く着いてしまった。このまま訪問しては、彼女はまだ寝ているかもしれない。そして、どういう顔をして訪問したらいいのか解らない。誰も僕の想いを知らない。  不自然な態度よりも自然に接した方がいい事は解っているが、できるだろうか?  ここまで来て迎えに行かないわけには行かない。そんな事を車の中で考えている内に、約束の時間が近づいてきた。まずは、彼女に近くまで来ている事をメールで伝える。 【10分位で着きます】  それだけのメールを打つだけで、僕の心臓は信じられない位の速度で動いている。そして、8分30秒が過ぎた。  僕は、勇気を振り絞って彼女の住んでいる部屋に歩を進めた。  彼女の部屋は、2階だ。階段を上がって、彼女の部屋の前に着いた。彼女の部屋は前に、一度送っているので知っている。しかし、前と状況が違う。彼女は起きているのか?早い時間なのに、迷惑じゃないのか?着替えをしている最中だったら・・・。余計な事ばかり考えてしまう。  そして、僕の心臓が信じられない音を立てている。心臓の音がドアを通り越して、彼女に聞こえてしまわないか心配になるくらいだ。  僕は、彼女の部屋のベルを鳴らした。 (ピンポーン)  インターホンから、彼女の声が聞こえてきた。 「江端さん?」 「おはよう。江端です。約束より早いけど」  カメラがあるから、僕だってわかるはずだ。     
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