空っぽの缶

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去ると決めたあの日 飲み干したのは 缶コーヒーの 中身に重ねた 悔いや未練 金属製の 昔ながらの 白い塗料がはげかけた ゴミ箱に 捨てた缶が鳴る音は 全てを糧にして 去ってやると 俺が決意した音 傍目から見れば 公園でただ憩いの時間を 過ごした人間にすぎなかった だが 俺にとっては 戦場へ繰り出す合図に 聞こえたスチール缶の音に 傍目から見ていた 鴉だけが その真実に 気づいているようだった その目には 本当に真の姿が映っているか? 問いかけて 問いかけて 問うた先には 憂いさえ焼きつくす紅蓮が 俺の背に 見えるかもしれない
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