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入社式の事があったせいか、彩蝶さんの一言で吹き出しそうになってしまった。
「っこら!小娘、余計なこと吹き込むんじゃねぇー!疑っているじゃねぇか!!」
「いえいえ!!、疑っているわけではないですっ!だだ…その、入社式のことを思い出してしまって…。」
「…?入社式で何かあったんか?」
黒葛さんが聞くと、彩蝶さんはニヤリとして何かに気づいたように言った。
「はっはぁ~…。社長に一杯食らったね?」
「…はい。そのぉ……、一杯食らいました。ご存知だったんですか?」
「ご存知も何も、毎年のことよ~。アタシの時もやられたー。」
(っ!!毎年のこと…。だからあの場に出席していた社員の人たちは、呆れたようなそぶりだったんだ!)
「おいおい、何のことだぁ?」
黒葛さんが、じれったそうに聞いて来た。どうやら中途で入ってきた黒葛さんは知らないらしい。それに気づいた彩蝶さんは説明した。
「ほぉら、うちの社長ヅラ被ってるでしょ?入社式の時、自分の話が終わると最後にヅラをわざと公衆の面前で落とすんだよ。他の場面でもやってなきゃ良いけど。」
「…そんな事をするんか?なんて社長だ!」
(そりゃ、びっくりするよなぁ…。一般的な考えだったら放送事故並みに大騒ぎしてもおかしくないもの…。)
「雲母工業の社長は、ヅラ取ると頭が キララ…ってか?」
「ぷっっっ!!!!…彩蝶さんっ!やめてくださいよっ!次会った時、顔を合わせられなくなります!!」
「ほぉ~ら、シンちゃん見てみな?キララん社長がこっちに向かって歩いてくるよぉ~?」
彩蝶さんに促され、ふと遠くの方を見ると、確かに社長がこっちの方に向かって歩いてくる。
(こんな時にぃー!!)
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