似た者同士

10/15
前へ
/339ページ
次へ
「なんでぇ?!ハナちゃん、ちょいと俺に厳し過ぎやしねぇか?」   「なら、お前は、これを読んで意味がわかるのか?」 「全然。さっぱり解りゃあしねぇ。」 ボカッ!! 「いっっってぇーーーー!!!!何しやがる!!」 「馬鹿に付き合ってられん。…他の皆様、どう思われますか?」 英さんは、瑠璃さんなんかそっちのけで訊ねる。 「そうですねぇ……。でも、瑠璃くんのも良い線はいっていると思うよ?」 先に口を開いたのは官兵衛さんだった。 「少なくとも、最初だけはね。そこから先は………まぁ、突っ込み所満載ですが…。」 「…んだとぉ…?この、変わりモン野郎!!」 瑠璃さんが官兵衛さんに飛びかかろうとするその時だった。 「『服従色(ふくじゅうしょく)藍鉄(あいてつ)』」 英さんがそう言うと、指先から深い青色の絵の具のような液が出てきて、それを瑠璃さんの口へ向かって飛ばした。 ベチャッ!! 「!!おいコラ!!何しやが………」 当然の事ながら、瑠璃さんの口は青く染まった。 だが、驚くべき事は、あれだけ頭に血が上っていた瑠璃さんが急に大人しくなり、俯いて床一点だけを見ている。 「アンタは暫くそうやって大人しくしてて。」 英さんは得意げに言う。 「英さん、瑠璃さんに一体何をしたんですか…?」 「どうかお気になさらず姫様。大丈夫、死にゃあしない。」 「そうですか…。」 ニコニコしながら英さんは言っていたが、英さんの目の奥は笑っていなかったように見えた。 「度々申し訳ございません官兵衛様。邪魔は黙らせたので、どうぞお続け下さい。」 「…あっ、ありがとう…、英ちゃん。……で、俺どこまで話したっけ…?」
/339ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加