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「はい、そうなんです官兵衛さん。この書簡、もう一度見てみて下さい。この書簡は、長編集ではなく短編集。重要なのは、穴の印がある文字だけではなく、それを施してあるページ…じゃない、 丁にもあるんです。」
「丁にも…?どれ、なら見てみようか。」
官兵衛さんはページをパラパラ捲り、何度も確認する。
「…成程ね。真紅ちゃんよく気が付いたねぇ?きっと君が一つだけ解ったと言うのは、『かわず』の意味じゃないのかな?」
「そう!そうです!!…でも合ってますかね……?これが合っていたら益々訳がわからない事になるような気がするんですけど…。」
「いいや、俺は合っていると思う。それに、かえって文面がよりはっきり見えて来た。」
「官兵衛様、一体どう言う事ですか?アタイらには何も…」
「あぁ、ごめんね英ちゃん。真紅ちゃん、説明してあげて?」
「はっ…はい。さっきも行った通り、この書簡は短編集です。この穴の印のある丁は、ある章のみにしか存在していない事に気付いたんです。その章というのが、『土竜と蛙』という話の所なんです。」
「『土竜と蛙』…?あの子供に聞かせる寝物語の…?」
「そうです英さん!正にそれです。」
「土竜と蛙かぁ…、懐かしいですねぇ〜。姉さん、子供の頃よく僕に読み聞かせてくれていたやつですよね?」
「だから…、お前…、面を付けている時に、『姉さん』と呼ぶなと言っただろうが!!任務中だろう!!!」
「…すいません……。」
二人静さんはまた怒られてしまった。
「俺は知らんな、そんな話。」
「ウラも知らないわ。」
ゴンさんと秀吉さんはどうやら知らないようだ。
「そうか……そうだよね。この寝物語は、竹取物語みたいに広く知られたものではないから、知らない人がいても可笑しくはないよね。…英ちゃん、二人の為に少しばかし聞かせてあげてはくれなかな…?」
官兵衛さんは英さんにやんわりとお願いをする。
「アタイがかい…?まぁ…アタイで良ければ…。えー……」
官兵衛さんに頼まれ、英さんは渋々と暗誦する。
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