後編*長すぎる夢の先に見たもの

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「ある時、もし私とお母さんが、逆の立場だったらって考えてみたの。私はね、お母さんがもし私の後を追って死ぬだなんて言い出したら、何馬鹿なこと言ってるのってめちゃくちゃに怒って、泣きわめいて、一日は口をきいてやんないって思った。これってきっと……私だけじゃないんだよ。せんせーだって、そうでしょう? せんせーの愛してた人だって、きっと同じだよ」  フウの心からの願いが雫となって、止まりかけていた彼の心臓に垂れ落ちる。 「その人も……愛していたせんせいが、死んじゃった自分に今でも縛られてこんな風に弱っているのを見たら、哀しくなっちゃうよ。だから……せんせーも私も、苦しくても淋しくても辛くても、どうにか受け入れて生きていかなきゃいけないの。他でもない、大好きだった人のために」  ルディの心臓が、リタを失ってから初めて、激しく脈打ち始めた瞬間だった。
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