そこに僕らはいた。（２）

図書館

　わたしは図書館に行くのが好きだ。
　自宅から歩いて十分ほどのところにある、市立図書館。
　でも、本を借りたことはない。
　誰かが触ったものを触るのが、なんとなく嫌だ。
　これが潔癖というのなら、そうなのかもしれない。
　わたしの通う市立図書館は、新しく建て替えられたばかりで、とてもモダンは造りをしている。
　本はもちろん、建物自体も好きだ。
　わたしは本を触らず、借りもせずなにをしているかというと、ずっと背表紙を目で追っている。
　図書館の蔵書の、見えるところぜんぶ。
　端から端まで見て周る。
　それがなんだか楽しいのだ。
　ときどき惹きつけられるタイトルがあるが、それでも手に取らない。
　わたしって変？
　でも、これがわたしのスタイルなのだ。
　誰にも文句は言わせない。
　気になればネットでポチッとすればいいだけなのだから。
　お金はかかるけどね。
　でも、それがとてもわたしって感じがして、存在確認みたいなものなのだ。