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手紙
「○○ちゃん、ずっと友だちだよ。ずっといっしょにいようね」
そんな子どもの口約束。
あなたはとうの昔に忘れてしまったのかな。
わたしとあなたは成長し、別々の道を歩き、いつの間にか会うこともなくなった。
わたしが本棚を整理していたときだった。
彼女からの手紙がするりと床に落ちた。
文通していた頃のものだった。
わたしはそれを読み返し、くすりと笑った。
「ふふ、汚い字」
それからわたしは、封筒の裏に記してあった住所に手紙を送った。
一週間後だったか、彼女から手紙が届いた。
彼女は実家を離れ、旦那さんがいて、子どももいるという。
わたしとはまったく別の生活。
それでも、彼女はわたしのことを忘れてはいなかった。
あの約束は守れなかったけど、お互い、まだ友だちだと思っていたんだ。
そう思ったら、なんだか幸せな気分になれた。
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