消えた温もり

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 朝目を覚ますと、いつも一緒に寝ているはずの友達の姿が無かった。  カーテン越しに朝日を感じながらぼんやりと思い出す。そうだ、友達は寿命を迎えて、昨日埋葬したばかりだった。その事を思い出しても、なぜか不思議と悲しくなかった。  実際に友達を失うまでは、その時が来て欲しくないと思っていたし、来たとしたらずっと泣いて過ごすのだろうと思っていた。  枕元にあるスマートフォンを手に取って写真を見る。そこには澄ました顔の柴犬、幼い頃から一緒に育った僕の友達が写っていた。  写真の中の友達は何も言わない。ただただ懐かしく感じるだけで、悲しくはならなかった。  もしかして僕は、友達と一緒に心の一部を失ったのだろうか。  違う、僕は。
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