「龍」

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「ありがとうございます。」 緑川が「龍」にお礼を言う。 「さて、改めて聞くが、どこから気付いていた?」 「この世界に来たら、目の前に黒い包帯の男がいて、その手に持つ刀で白木が人質に取られていたんです。炎がどう判断したかはわからないのですが、人質を取ってる時点で信用できないと判断しました。ですが、向こうもそれに気付いたのか、護衛として監視を付けられてしまって。」 「ほう。では、何故、私が助けてくれると思ったのだ?」 「白木は捕らえられていたから、刀の能力の特定はできないはずなのに、刀の能力を特定していたということはこちらの情報を探り当ててるはず。情報を伝えた存在についても話されてましたから。「本拠地に攻めていった」ということを「白木を助けにいった」ととらえるなら、「何人守りきれるか」という問いも「何人監視がいるか」という問いかけとわかります。確かに、決め手には欠けましたが、敵の敵は味方ですから。」 緑川は、そう言いながら、刀を下げる。 「フッ、判断能力だけでなく、決断する度胸もあるか。」 「どうか、白木を、そして、状況がわからない赤岩を助けてください。」 緑川は、「龍」に向かい、頭を下げる。 「龍」は、人の姿に戻り、口元を少し緩める。 「頭を上げよ。まず安心せよ、「赤の勇者」こと赤岩という名の少年なら、「虎」の元にいるので安全だろう。「白の勇者」も「猿」がすぐに安全な場所に移すはずだ。」
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