「虎」

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薬屋に行くまでの道のりには、温泉や薬草栽培用の農場など様々な施設があった。 薬屋に付いた赤岩は、小銭で薬を買うと、兵士に礼を言う。 「おじさん、ありがとう。」 そう言って、城に向かうわけではなく、温泉に入り始める赤岩。 温泉施設内には、足湯やサウナや水風呂などのほか、マッサージや宿泊施設まである。 キャンプでの掃除や道中での汗を洗い流す赤岩。 「馬」を倒す前に体力を取り戻すために寄ったのかもしれないが、 島にはない大きさの温泉に、魅了されてしまう。 サウナに入り、その汗をたらいで流し、露天風呂に浸かり、を繰り返していくうちに、そこの客とも仲良くなっていく。 そんな中、1人の大柄な男に話しかけられる。 「坊主、若いのに、いい入りっぷりだな。」 「おじさんもね。」 「ブハハハ、「おじさんもね」か。そうだな、裸一貫では身分も何もない。ワシはただのおじさんじゃ。」 何気無い会話をして、やっと風呂を出る赤岩。 その後もマッサージなどをし、入ってから三時間ぐらいしてようやく外に出てくる。 「遅い。」 先ほど別れたはずの兵士が、赤岩が出るのをずっと待っていた。 「え?おじさんどうしたの?」 「遅い!遅すぎる!!」 兵士は、赤岩の肩をポンっと叩くと、距離を置く。 「おめぇは、この刀で「馬」を倒すんだろ?」 兵士の口調が変わる。兵士の手には炎の刀が握られているが、赤岩が持つときと違い、炎は出ていない。 「いや、やめようと思って。」 「何!?」 「この街に来るまでは、「魔王」の手下って聞かされてたから、倒そうと思ってたんだけど、この街に来てみたら、温泉とかのおかげかみんな笑顔で、あの黒い包帯の人がどう思っているかはわからないけど、話し合えばわかってもらえる人だと思ったから、倒さないよ。」 そこにあの大柄な男がやって来る。
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