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「猿」
2018年8月8日、広島県にある江杜島。
キャンプ中、光の中に吸い込まれる白木光。
気が付くと、白木は、寺の中にいた。
白木は、誰かいないのかと、寺の中を探し回る。
白木は、僧らしき男が誰かと話しているのを見かけるが、暗がりで周りが見えづらい。
よく見ると、そこにいたのは、黒い包帯の男と蛙の姿をした男だった。
「そうか。「赤の勇者」が……まあ、それでも計画に支障はないが、やり方を変えてみるか……」
「キャっ!」
白木は、思わず声を出してしまう。
「誰だ、そこにいるのは!?」
その言葉に白木は逃げようとするが、足元の何かにつまずいてしまう。
「何、これ?」
「おやおや、「白の勇者」様でしたか。それは、抜作という刀ですよ。」
「抜作!?」
「ええ。もう400年以上も前の刀ですが、まだまだ切れ味を失わない名刀ですよ。」
黒い包帯の男は、抜作を持つと、それを白木の首に向けた。
「さて。計算では、最後の勇者がもうすぐ現れるはず。あなたには、交渉のための材料になっていただきましょう。」
黒い包帯の男の言葉通り、「緑の勇者」こと緑川風が現れる。
「ここは?さっきまで、キャンプ場の近くにいたはずなのに……それに、こんな寺は見たことがない。」
「お気付きになられましたか、勇者様。」
「!?」
黒い包帯の男の方を見て、白木が人質に取られていることに驚く緑川。
「さて……私の話を聞いてくださいますかな?」
「ああ。」
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