「馬」

1/10
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/78ページ

「馬」

「馬」の城の中に入った「虎」と赤岩。 「「馬」は、城作りの名手でな。ここの城だけでなく、ワシの城など多くの城を作り上げてきた。中でもこの城は、三重の掘で囲まれた強固な作りになっておる。」 「……」 「どうした?」 「いや、同級生にも歴史や城が好きな子がいたから、思い出してしまって。」 「そうか……早く会えればいいのう。」 少し待っていると、「馬」が現れる。 「お待たせいたしましたおやか……「虎」様。その少年が「赤の勇者」ですか?」 「そうじゃ。のう、お主の力で「魔王」の城まで届けやってはくれぬか?」 「ですが、「鼠」様や「犬」様が何と言われるか……」 「ならば、やつらも「魔王」のところに集まればいい。この坊主たちは「勇者」だというだけで、この世界に呼び出されているのだ。なるべく早く解決してやるのが、ワシら大人の勤めではないのか?」 「わかりました。」 「馬」は、茶色い毛の馬の姿に変わる。 その額からは、ユニコーンのように刀が一本出ている。 「さあ、乗るがいい。こいつのスピードなら、すぐに「魔王」の城に着くだろう。」 城の壁をよじ登りそれを見つめる時来矢。 「おやおや、そうされると、シナリオが狂ってしまいますからね。」 時来矢は、黒い石を「虎」に投げる。 「馬」は、広い視野でそれを察知し、素早い動きで「虎」を庇う。 黒い石は「馬」の中に入っていき、「馬」の体は黒い毛に変わっていく。 「おやおや、予定とは異なりますが、これはこれで面白い戦いが見れそうですな。」 「グォオオオ!」 黒い「馬」が、「虎」に襲いかかる。 咄嗟に爪の刀で防御姿勢をとるが、黒い「馬」は素早く動き、「虎」の背後に回り込む。 「おじさん!?」 黒い「馬」の額の刀が突き刺さり、「虎」が背中から血を流し倒れこむ。
/78ページ

最初のコメントを投稿しよう!