「龍」

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「龍」

2018年8月8日、広島県にある江杜島。 キャンプ中、光の中に吸い込まれる緑川風。 気が付くと、緑川は、寺の中にいた。 「ここは?さっきまで、キャンプ場の近くにいたはずなのに……それに、こんな寺は見たことがない。」 「お気付きになられましたか、勇者様。」 「!?」 黒い包帯の男の方を見て驚く緑川。 「さて……私の話を聞いてくださいますかな?」 「ああ。」 緑川は、黒い包帯の男の方を見て、ゆっくりと頷く。 「あなた方が来たのは、あなた方の世界とは違う世界。あなた方が異世界やパラレルワールドと呼んでいるものですよ。あなた方には、「魔王」を倒していただきたいのですが……」 黒い包帯の男は、手を強く握りながら緑川の方を見る。 「どうやら、先に来られた「赤の勇者」様は、「虎」の化け物に囚われてしまったようでして……」 「オレに炎を助けに行けと?」 「いえいえ、「虎」は危険な相手ですので、経験を積んでからの方がいいでしょう。この世界には、「魔王」と、その配下の12の化け物がいるのですが、まずは能力的に相性の良い「兎」から倒していただければ。」 「能力?」 「この刀、一見短い刀かもしれませんが、勇者様が使えば風を生み出すことができます。この刀があれば、素早い「兎」や「鼠」も簡単に倒せるでしょう。」 「炎は助けなくてもいいのか?」 「いえいえ。準備が整えば、助けに行きましょう。ですが、まずは「兎」を倒しに。」 「……わかった。」 「そうそう。「赤の勇者」様の件もありますから、護衛を付けておきましょう。」 5人の護衛とともに、「兎」の街までやってきた緑川。
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