プロローグ:あなた は のろわれて しまった!!

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1  俺、とある村の農家の三番目の子供で次男坊のズオー、12才。一人の兄貴と一人の姉貴、二人の弟と、毎日親父達の畑仕事を手伝う、いたって普通の村人A。  季節はそろそろ冬が来る、今日この頃、俺は村の若い衆と協力して、近くの森で薬草や木ノ実を集めに来てるんだ。  ただ、森に行く度に村一番の長生きのばあさまから、「いいかい?森で祠を見つけても近づいてはいけないよ……」、って言われるんだ。  そんなん言われたら探しちゃうじゃん。てなわけで、俺は物心ついた頃から森に行く機会があれば、必ず祠を探してた。  しかし、今まで見つけた事はない。  ……、のだが。  「……見つけちゃったよ。」  なんと、いつも必ず通る場所なのに、こんな目立つ物を絶対に見逃さない筈なのに。  苔や木のつるに覆われ、不気味にそびえる祠を、見つけてしまったのだ。  辺りをキョロキョロと見渡し、誰も居ない事を確認すると、深呼吸を一回。祠に向かって走り出す。  祠の扉の前まで来ると、まるで意思があるかのように、扉は音を立てて開いた。一歩、祠の中に踏み出すと、長く続く廊下の両端にある松明に火が灯った。  松明の火は、祠の中を進む俺と呼応するかのように灯っていく。  途中、人か獣の物か判別できない白骨化した屍が転がっており、思わず息を呑む。  そして……――。  「あれは……剣?いや、斧?なんだろう……」  祠の最深部に到着すると、台座に剣と斧を合体させたような、真っ黒な武器が刺さっていた。そのすぐ傍では白骨化した、明らかに人と思われる屍が転がっていた。  そのあまりにも不気味な雰囲気から、これは本気で関わっちゃ駄目なやつだ、と、察した俺は無言で回れ右、今来た道を戻ろうとした。  『やぁ少年!!元気かい?』  突然、この部屋に何者かの声が響き渡った。体をビクリとさせ、辺りを見渡す俺に、更に声がかけられる。  『ここだよ、ここ。ささってる剣だよ。いきなりだけど少年、力は欲しくはないかい?圧倒的な、力が……』  振り向くと、台座に刺さった剣が真っ黒い何かをモヤモヤさせながら不気味に赤黒く光っていた。  「いや、いいです。僕冒険者とかじゃないんで、普通の村人なんで、今度冒険者が村に来たらここ教えるんでその人に抜いてもらってください、んじゃ」    『おおう、察しの良いガ……少年だ。そう、この台座から抜いて欲しいんだ。』
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