むら から おいだされて しまった !!

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 「よし!!村の教会に行かなきゃ!!」  『む?教会?一体何の神の教会だ?俺の呪いを解きたければ、フババやマルルスの最上位の加護を得た、現人神(あらひとがみ)級の者にしか俺は解けないぞ?あるいは……俺をあそこに封じ込めた魔科学や……――』  「何言ってんだ?神様は神様だろ?ふ、ばば?まるるす?魔科学ってなんだよ?魔法じゃなくて?」  『……』  「……?なんだよ、急に黙って。」  『……いや、そうか。気にするな。……これは良い時に外に出れたものだ。ふふ、ふはははは!!さぁ少年、その教会で俺を解いてみれるものなら解いてみろ!!……あぁ、そういえば少年、君の名は?なにせ命の恩人だ、名前ぐらいは永劫覚えておいてやろう。』  「?……ズオー。俺はズオー。そういうお前は名前とかあるのか?……いや、やっぱいいや。良く考えりゃ騙されたわけだし……。お前呪われてない言うたやん!!嘘つき!!」  『確かに……ちょっとばかりの嘘をついたが……我ながら思うのは、こんなにも怪しすぎる武器を引き抜く決意をした君、ズオーの判断能力の方が問題ではなかろうか?俺だったら抜かない……と、思う。』  「ぐぬぬ……返す言葉もない……!!」  ちょうどその時であった。  《カーンカンカン!!カーンカンカン》  突如、鐘を打ち鳴らす音が森に響き渡る。これは村からだ、と思い、その方向へと体を向けると、大きな煙が立ち上っているのが見えた。  「む、村が!!村が襲われてる!!そんな!!今は魔物だって冬籠りの準備で人里には滅多に来ないのに!!」  今、村の若い衆はこの森に出張っていて戦力になるような人はあまりいない。  『ほほぅ。やはり、ズオーよ、君と俺は出会うべくして出会った運命のようだ。こんなにも早く俺の祝福(のろい)をその身に受けるとは……』  「お前!!お前剣なんだから戦えるよな!?俺、剣とか使った事ないけど、スキルみたいな感じで、なんか、こう、とにかく!!凄いやつ、だせるよな!?なぁ!?」  『どうどう。落ち着くんだ。そりゃもう戦えるさ!!君のような年頃で憧れるような、邪竜なんちゃら、とか、黒炎なんちゃら、みたいなの出し放題だ!!ただし……――』  「良し!!戦えるんだな!!でも、でも……戦うのは、ちょっと、怖いけど……姉貴は結婚も決まってるんだ!!皆は……俺が守る!!」
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