むら から おいだされて しまった !!

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2  思うように走れない中、やっとの思いで、村の近くまで来れた俺が目にしたのは、剣や斧を持った盗賊らしき人影が村の家々から金目の物を運び出す様だった。  「と、盗賊!?なんでったってこんな辺境の村に……!!」  『ふむ。見た所、レベル10~20といったものか。それズオーよ……なんだ、足が震えているではないか。どうした?恐いか?』  「あ、当たり前だろ!?と、と、と、盗賊だぞ!!剣とか斧とか槍とか……お、俺には無理だよ……。そ、そうだ!!兄貴達は!?兄貴なら狩りで弓を使うから……!!」  『弓だと?……そうか、そこまでこの世界は……。あそこの家の屋根の上で陣取って矢を射ている者達が居るが……』  「ど、どこ!?どこだよ!!」  『どうどう、そう興奮するな。あの牛の死骸が重なる……農場?で良いのか?その屋根の上だ。』  「……!!ま、間違いない!!あれは……森に出張ってた村の若い衆だ!!皆、先に村に着いてたんだ!!お、お、俺も……!!」  『……』  「お、俺も……行きたい、のに……足が、動かない……!!」  『ならば……俺の力を使うと良い。かつては俺を使って遥か空の上、宇宙……と言ってもわからんか。とにかく、これから俺の言う通りにしろ。さすればズオー、君はものの数秒であの家まで到着できるだろう。』  「わ、わ、分かった!!」  『まず、剣先を後ろへと向けろ。尻の辺りだ。そこに剣先を向け……』    俺は言われた通りに、尻の所へと、この呪われた剣の、剣先を向ける。 すると、剣全体を真っ黒いモヤモヤが包み始める。  『この黒い瘴気……靄が見えるな?』  「う、うん!!」  『体をあの家へと向け……この靄を撒き散らせ。そうだな……そう!!屁だ!!放屁するように、この靄を爆発させろ!!』  「……お前、ふざけてんの?」  『いやいやいや、マジだ、本気だ。これが、お前がもう少しばかり年を重ねていれば他の例えもできたのであろうが、放屁の例えが、お前にはわかりやすいと思ってだな……』  「……マジっぽい言い方だな。じゃあ……お前を、信じるぞ……ん、んんん~ッ!!」  頭の中で、この黒いモヤモヤを、屁のように爆発させる想像を浮かべる。  『おぉ、良いぞ。魔力が一点に集中している!!その調子だ!!』  ――……そして。  「ん、んんんん~~~~~!!あっ……」  《ブブ~ッ!!》
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