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放屁するように、と言われたので本気で屁をするように気張り、盛大な音で屁が出たのだ。……危ない、もう少し力んでたら実も出る所だった……。
しかし、その本物の屁をした直後だった――……。
《ズゴゴゴゴゴゴゴ!!ボゥ!!》
剣全体を覆っていた黒いモヤモヤが剣先に集まり、そして放出されたのだ。
「わ~~~!!わわわわわ!!わ~~~!!」
瞬間、俺の体は地面から離れ、兄貴達が居る家へと、飛んでいた。恐ろしい勢いで。
『はっはっは!!放屁するように、とは言ったが、本当に放屁する馬鹿がいるとは……あ~はっはっは!!これは愉快!!この先しばらく、退屈せずにすみそうだ!!』
そんな呪われた剣の言葉に返答する余裕もなく……。
《ズドォォォォ……!!》
はたと気付けば、途中に何軒かの、良くお世話になる村人の家を破壊しつつ、兄貴達が屋根に居る、農場の家の壁に、張り付いていた。見てみると、壁を4、5枚貫通していたようで、目の前には、人の大の字の穴が空いた壊れかけの壁が見えた。
急いで壁から抜け出し、兄貴達が見える所へと移動する。
「兄貴!!兄貴~!!皆~!!」
そう大声で叫ぶ。
「ズオー!?その声はズオーか!!」
すぐさま、聞き覚えのある声が返ってくるも、立ち込める土煙で向こうから俺の姿は見えないようだ。
「今、森の方から飛んできたのは何だ!?」
「それよりも盗賊だ!!こんな土煙じゃ見えんぞ!!」
「と、とにかく矢を射ろ!!」
俺もだいぶ混乱しているが、向こうは人数が多い分、それ以上に混乱しているようだ。
土煙が晴れていき、少し先に人影が見えた。俺はその人影が村の人のもの、と思い近付いた。しかし――……。
「あ……」
「あぁン?なんだぁ、手前?」
【 とうぞく が あらわれた !!】
「え、えぇ~!!お、おい呪われた剣!!ど、ど、ど……」
『落ち着けズオー、この程度の賊に負ける程に腐った覚えはない。さぁ、俺を構えろ!!』
「そ、そ、そんな事言われても!!さっきも言ったけど!!た、た、戦った事なんて……!!」
【 とうぞく は なかま を よんだ !!】
【 とうぞくB とうぞくC とうぞくD が あらわれた !!】
「わわわ!!ふ、増えちゃった!!」
『だから早く俺を構えろと言うんだ。それ、もっと来たぞ』
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