むら から おいだされて しまった !!

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むら から おいだされて しまった !!

1  「……」  『……』  しばしの静寂と共に、俺は武器を元あった場所に戻そうとする。しかし……――。  【 のろわれた ぶき は はずす こと が できない !!】  「お前、お前お前お前ぇぇぇ!!呪われてるやんけぇぇぇぇぇぇ!!」  『ふははは!!喜べ少年!!君は世界を制する力を手に入れたのだ!!』  真っ黒い呪われた剣を外そうとブンブン、と腕を振り回す俺、高笑いする呪われた武器。  そうしてしばらくすると、祠が揺れ始め、壁や天井の破片が落ちてくる。  『む?おい少年!!出口まで突っ走れ!!このままでは次元の狭間に飲み込まれるぞ!!』  「うるせぇぇぇ!!呪われた武器なんて次元の狭間にでも何でもに飲み込まれちまえぇぇ!!」  『……そうなると、少年、これから君は餓死するまでずっと、このまま俺とここに居る事になるんだが……まぁ、仕方ない。君はせっかく見れる筈のおっぱいもゴールドも目にせず、冒険者どころか、ただの行方不明の村人として餓死するのだ。あぁ、残念だ……』  「……マジ?」  『マジだ。』  瞬間、俺は祠の出口めがけて爆走するも……。  「ぜぇ……ぜぇ……あ、れ?俺、こんな走れ、無かった、っけ?」  たった少し走るだけで息切れを起こし、額には大粒の汗が伝う。  『それは仕方ない事だ。君は絶大な破壊力と魔力を手にした代償に、他の能力が、もんのすごく落ちている。それそれもっと気張れ気張れ。』  「ぜぇ……ぜぇ……はぁ、はぁ……く、そ……ぜ、絶対にお前の、呪いを、解いてやる……」  そんな事をぼやきながら後ろを見ると、これまで走ってきた場所が真っ黒い影で塗り潰されていた。  「ひ、ひぃ!!こ、こんな所で、死んで、たまるか!!」    そして必死に、必死で、必死に必死に走り、ついに祠の出口が見えた。 最後の力を振り絞り、出口に突っ込む。  「どぅおりゃぁぁぁぁ!!」  後ろ数十歩までに迫っていた影。冷や汗と疲労の汗、両方で体中をびしょびしょにしながら、祠から脱出した。  地面に顔面から着地しながらに、振り返って祠を見てみると、黒い影に吸収されるように、祠は消失した。  『うむうむ。見事なものだ少年。……ンン~!!一体、何千、何万年ぶりの外界か!!素晴らしい!!ついに出れたぞ!!はっはぁ!!見たか!!くその自称賢者共め!!』  
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