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 二人がいた。二人は二人、一人じゃない。  二人は神さま。硬い星のイスに座って、宇宙をながめてる。  星のイスから眺める宇宙は壮大だった。  遠くから眺めると星がいくつも集まって川みたいになっていたり、何かの設計図みたいに並んでいたりするのだ。  二人はそれらに物質や生き物の名前をつけていったが、やがて飽きてしまった。 「ホントの何かを作ろうか」 「楽しそう」  二人はガスの塊を作った。実体のないそれをこねくり回すと星が出来た。  いつも二人が座るイス。  それを気まぐれで爆発させて、新しい星を作る。  星に空気を乗せ、彼らが見た宇宙の川を作った。  物足りないので星一面を海にした。  僕たちのように座るイスが必要だと、わずかな部分に島を作った。  たくさんの生き物が腰かけられる素敵なイス。  海の生き物を作り、島の生き物を作り、気候を整えると人が世界を支配した。  建物を作って集落をつくり、建物の作りが立派になり、星よりもキラキラした灯りや、鳥のようにたくさんの人が飛べる乗り物なんかが出来た。   「人圧倒的すぎない?」 「じゃあ減らそうか」 「うーんまあこれはこれで」  二人は時々世界にイタズラしつつ干渉しつつ、星の生き物たちを眺めた。寝っ転がりながら、手をつなぎながら、ないしょ話をしながら。  宇宙の果てのないしょ話を聞く誰かは、文明が発達した今でも誰もいなかったけれど。  二人にとっては無数の星々にも、地球の友達の月にも聞かれたくない重要なことだったので、ないしょなのだ。
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