バス停のユニコーン

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 寒いなあ。もうすぐクリスマスだ。駅前はずいぶん浮かれていた。  昔なら、私だって浮かれているはずの季節。今はもう、自分の自由にならないものに、自分の自由を捧げながら一日が消えていく。  ぐうっと奥歯を噛み締めてがんばるのを、うまく切り替えることができない。最近は寝ているときさえも奥歯を噛み締めているようだ。寝てしまいたくないという願いが、体にも知られてしまったのだろう。毎晩気絶するようにして寝ているだけで、本当はもう、寝たくもないのだ。寝たら、明日が来てしまうから。
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