第1章 洋平君、来客。

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ただしどちらも貴殿が舞葉さんは不倫をやめてあなた のもとに戻ってくるという想定にすること。 そして舞葉さんを必ず幸せにするストーリーであること。 部屋はバス・トイレ付きで、簡単なホテルのような部屋だった。携帯・財布は没収された。洋平は、必死で部屋にあったパソコンを打ち始めた。舞葉への思いを正直に書き、自分がどうするのかを具体的に書きあげていった。3日以内に書けなければ違約金10万円が科せられる。     * 「いかがですか? お約束の時間がやってまいりました。窮すれば通ず、ですね。あとはできた原稿を舞葉さんに渡すだけです。そのあとはどうなるか、に関しましては当店では一切関知しません。最初に書いた誓約書どおりです」北川は洋平と握手をした。 「なんかわからないけど、ストーリーどおりに生きてみます、北川さん」 「ご幸運を祈ります」2人は硬く握手を交わした。  外へ出ると雲の間から青い空がのぞいていた。洋平は駈け出した。
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