第2章 加奈の場合。

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ガクは3時間いて、8万払っていった。さすがに加奈もかなり酔った。店長には誉められた。こんな客が毎日来たらいいのに、加奈はその時はそう思った。LINEはつながった。     *  ガクが本性を現したのは3回目の時だ。 「俺の夢、言おうかな」 「独立?」 「ちゃうよ、仕事は勘弁。加奈と鎌倉に行きたいな、車で」ガクは手を肩にまわし耳元で言った。 「えーそんなんでいいの?」加奈はそう言いながらも断るマニュアルを思い出した。 「車でさ、いい店、何件か知ってるからさ、連れていきてえな」 「まだ子供だから鎌倉とかわかんなーい、店長に聞いてみる」加奈は必至だ。 「そう、子供を俺が育てていい女にしてやるのさ」ガクはシャンパンを片手に、もう片方の手を加奈の太ももの上に置く。完全、ご法度だ。助けを呼ぶ時はジッポの蓋を2回開け閉めするよう言われている。でもできなかった。ガクの機嫌を損ねたらアウトだ。 「3回目でアフター、いいだろ」     * 閉店時間に店を2人で抜け出して遊ぶのがアフターだ。食事をしたり、カラオケに行ったりする。加奈はカラオケがいいといった。店長は気をつけろと言って許可した。 カラオケの部屋に入るや否や、ガクがトートバッグの中から何かを取り出した。 「はい、これ今日の加奈へのプレゼント」 紺のハイソックス・・・ 「ありがとー、今度使うね」加奈はたいして嬉しくない。     
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