第1章 洋平君、来客。

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第1章 洋平君、来客。

東京都であっても、ここ原田市は、新宿から40分、横浜から40分、という少し遠い立地もあってか、さながら地方中核都市の様相をなしている。なにしろデパートやファッションブランドの店、たくさんの飲食店などが集まって、あらかたの買い物はここ原田の街で済ませられるからである。夜は夜で、飲み屋街は賑わって、不景気とはいえ人がたくさん集まってくるのだ。一方で駅を少し離れればまだ多摩丘陵の自然が色濃く残っており 田園風景なども広がっている。 そんな原田の街も駅の南側に行くと様相はがらりとかわる。駅前を流れる原田川を境に隣の市になるのだが、通称あかせん、といわれる地域があり、、昭和30年代までは公認で売春が行われていたのである。売春防止法によってあかせんは消滅したが、その後もラブホテル街が林立し、雑居ビルでは風俗店が今でも残っている。その後、行政もイメージアップを図りたいためか、緑の多い公園が整備されたり、都会的な住居用マンションがあかせんを取り巻くように、次々と建設されたため少し異様な光景が広がっている。     
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