路地

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路地

ーーーーああ……まただ また、来てしまったーーー 原美織(はらみおり)はその場で足を止めると1つ、深めの呼吸をした。そして生臭く感じる鉄と油の混じった匂いを吸い込み、妙に落ち着く気持ちと同時に何故なんだ?と言う思いとが入り交じった複雑な心境でいた。 足元に1つ転がり落ちている鉄屑の切れっ端を拾い上げる。 それはバネのようにクルクルと曲がっていて、けれどその切り口は鋭く迂闊に触ると簡単に手を切ってしまいそうだ。 美織は鉄屑ばかりが放り込まれている大きなかごにそれをそっと入れておいた。 そのかごの奥では青い炎をバーナーから出しては、パチパチと火花を散らす人が座っている。 鉄製のガードを片手にその人は火花を派手に散らしていた。 ーーー知っている 美織はガードを外さないその人の顔を何故か知っている。と、感じていた。 美織は今日こそは声を掛けようと決めていた。そして、その人の顔を見るのだと。 美織が近づいても相変わらずパチパチと火花を散らすその人の背後に周り、鼠色した作業着を着たその背中にそっと手を当てようとしたときーーー ーーーー後ろの正面だぁれ? 美織の背後から女の子の声がする。 その声の主が誰なのか知っていながらも美織は 誰だろ?と、大袈裟に言うと背後からケラケラと楽しげに笑う女の子の声が響く。 ーーーねぇねぇ、見ちゃ駄目なんだよ。ここは危ないから駄目なんだよ。ここで遊んでちゃ。 相変わらず、鼠色した作業着の背中は大きく動くこともなくパチパチと火花を散らしている。 仕方ない。と、美織は簡単に諦める。 ーーーそっかぁ、ごめんごめん。 そう言いながら振り向こうとすると
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