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涙
久々に会ったマリコは、どこか居心地が悪そうだった。俺は俺で、自分の部屋にマリコがいることがなんだか不自然に感じた。それというのも、全然会えていなかったから。俺が会いたいって言っても、「バイトが忙しい」とか、「授業がたいへんだ」とかなんとかで、断られることが続いた。クリスマスも一緒にいられなかった。そんな中、突然マリコの方から会いたいって言ってきた。
よく聞く話だけど、やっぱり会えない期間が長いと、不満がたまってくる。しかし、彼女はずっと平然としていた。少なくとも、そう思った。
自分だけ不満がたまっているような気がして、苛立ちを覚えた。それが原因で、何回か言い合いをしてしまったこともあった。以前にも、会えない時が続くと、同じような言い合いになったことがあった。それでも、直接会えば、ささくれだった気持ちも落ち着いた。だけど、今日は何か違う・・・。
「ねぇ」ソファに座っているマリコが苦しそうに言った。
「何?」
「今日は、話したいことがあって来たの」
あぁ、そういうことか。もう想像もつくし、諦めもつく。
「うん」
「私たち、もう・・・もう、別れない?」
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