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「そうですか。姉様は何をしていますか?」
「故郷から仕送りが来たので。ウィンドウショッピングをしてみようかと」
「窓を買いに行かれますか」
「窓ですか。それを考慮して見るのもいいかもしれません。魔法少女は窓辺で色々するものですから」
物凄いズレた話をしている。
「仕送りとはいくらですか?」
「よくぞ聞いてくれました。ここに入っています」
ジャーン。クマさんの形のがま口を開けた。
覗き込む二人のちっこい生き物。
「150ループ入ってました」
アルテミシアは、何も言えなくなった。
村は別に貧乏というわけではなかった。十分豊かであると言えた。
ただーー現金収入は乏しかった。
喫茶店で軽食をとった時の料金は、王都だと800から1000ループだった。
移送方陣で王都に飛んだユノは、当初の目的通り服飾店をテトテト歩いていた。
ショーウィンドウに、何とも可愛らしいワンピースが飾られていた。
「ふおおおう」
覗き込んだ。350000ループ。
「これも買えません」
しょんぼりした。街は美しく飾り立てられていた。
その中にいる自分の、何とちっぽけなことか。
しょんぼりしたまま路上に降りた時、目の前に四頭建ての大きな馬車が立ちはだかった。
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