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倒れ、アレンと呼ばれた男の背後。
陰った木々の間、白く輝いた粉雪が舞うなかを『黒い瘴気』がウヨウヨと蠢いた。
「た、隊長! 助け――」
黒い闇のなかから触手のように伸びた手がアレンの脚を掴んだ。
「……」
隊長と呼ばれた男はアレンから目を逸らした。
「あああああああああああッ!」
そのままアレンは闇の中へと引っ張られた。
グチョ――
ベリ――
バリ――
それは肉や骨がねじれ噛み砕かれ引き裂かれる音だった。
「た、た、す……けッ――――」
うっすらとした闇のなかで繰り広げられる惨劇を想像しながら、ユノマルス先遣隊の隊員らはおびえた眼差しを捧げた。
アレになるのは自分だったかもしれない。
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