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そのとき、周りの木々を押しのけるようにそれは姿を現した。
体長は2メートルほど。
人間に近い漆黒の身体。
4本の長い腕。
多数の関節。
真っ赤で血のような瞳。
長い髪を振り乱して、喉を潰したような音を出し、黒い瘴気を放ち、そして先ほどまでアレンと呼ばれていた肉塊の一部を喰らっている。
あれが、『魔族』だ。
「ひッ――」
「『ファースト』の造形だ。まだ運がいいぞ。セカンド、サードだったら一瞬で終わりだった」
『ファースト』と呼ばれた魔族が数えて4体姿を現す。
「オオオオオオオオオ」
魔族はこちらを見つめ、潰れた声を発し長い腕を引きずって、ぎこちない走り方で迫ってくる。
「逃げるぞ! 走れッ!」
その声で金縛りが解けたようにユノマルス先遣隊は走り始めた。
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