無題短編 一話

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無題短編 一話

どうにもすっきりとしない身体を起こす。覚め切らない頭で、今日が何曜日なのかを手繰り寄せる。 やっぱり、今日は平日で変わりない日常が始まるのだと思うと溜息が出そうになる。グッと堪えてゆっくりと鼻から息を吐き出した。そのまま溜息など吐こうものなら、何となくだけれど負けた気分になりそうだからだ。 両手を天井に向けて大きく伸びをして、秋の始まりの朝方に特有な暑いのだか涼しいのだかわからない温もりを籠らせる薄い布団を跳ね除けた。 今は朝で、起きたからと云って特に声をかける相手が居ないのは僕が一人暮らしだからだ。2LDKのキッチンへ移動してコンロのスイッチを捻る。一人分のお湯は直ぐに沸くのだから、コンロを眺めて少し待つ。
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