二話

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それでも、仕事にはやり甲斐を感じている。会社員の世界は綺麗事じゃない。戦略がなければ上には上がれないし、力がなければ上に上がったところで足元を掬われる。 だから面白いのだ。文句を言わせない力を見せつけつつ、先に上に上がるであろう人物に恩を着せる。 「流石だな藤間。お前のクレバーさには畏れ入る。他部所のトラブルですまなかったな」 「いえ、私一人でトラブル処理などできるわけじゃないです。最後の一押しを部長がしてくださったおかげです」 佐久間は満足そうに頷いて、部長室のソファーに深く背をもたれた。 「実際、馬鹿ばっかりだ。お前の様な部下がいて俺は恵まれてるとつくづく思う。とにかく今回は助かった」 「いえ、偶々上手く処理が出来ただけです。相当周りにも迷惑かけました。まだ色々後始末しないといけません」
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