106人が本棚に入れています
本棚に追加
それでも、仕事にはやり甲斐を感じている。会社員の世界は綺麗事じゃない。戦略がなければ上には上がれないし、力がなければ上に上がったところで足元を掬われる。
だから面白いのだ。文句を言わせない力を見せつけつつ、先に上に上がるであろう人物に恩を着せる。
「流石だな藤間。お前のクレバーさには畏れ入る。他部所のトラブルですまなかったな」
「いえ、私一人でトラブル処理などできるわけじゃないです。最後の一押しを部長がしてくださったおかげです」
佐久間は満足そうに頷いて、部長室のソファーに深く背をもたれた。
「実際、馬鹿ばっかりだ。お前の様な部下がいて俺は恵まれてるとつくづく思う。とにかく今回は助かった」
「いえ、偶々上手く処理が出来ただけです。相当周りにも迷惑かけました。まだ色々後始末しないといけません」
最初のコメントを投稿しよう!