二話

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佐久間は鷹揚に頷いて「多少の交際費は使って構わん。俺の名前で処理しておいてくれ」と告げた。 商社の仕事は多岐にわたる。今回はウチが主導した中堅流通の合併に伴ったシステムのトラブルだった。 そもそも、システムの統合には様々な問題が伴うのは間違いない。システムや情報処理など門外漢なのだが、問題点を突き詰める能力さえあれば案外難しい事ではない。 『藤間さんって理系なんですか?』 『いや、大学は文系だよ』 『そうなんですか?変な言い方ですけど、御社のシステムの方達よりよっぽど理解が早いです』 『そうか?この手の物はゼロか1だろ。人間より余程わかりやすい』 『変わってますね。藤間さんって』 可笑しそうに笑いながら、テキパキと部下に指示する男はヒョロヒョロとして年齢もよく分からない。ラフな格好で髪形にも頓着していない様子だ。 典型的なオタクなのだけれど、それなりに清潔感もある。使えるか使えないかでジャッジすれば間違いなく使える男だ。 『どうやら君に任せれば問題なさそうだな』
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