二話

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「えっ?」 「大丈夫ですよ。多分、それなりに刺激になるかもですよ。藤間さんって仮想通貨とかに手は出してませんよね?」 「おいおい、仮想通貨って。その手の投資とかは勘弁して……」 柳は、やはり可笑しそうにしながら手のひらを私に向けて言葉を遮った。 「興味があったら困るんです」 「興味はある。ただ、それは投資とかじゃなくて仕組みに関してだけどね」 「ブロックチェーンに関しての興味ですね?」 柳の言葉に頷いた。ブロックチェーン、大まかに言えば消す事の出来ないデータだ。ビジネスの世界で先を見通せば、当然知識としても実践としても必要になるだろう。 「なら、大丈夫です。多少は勉強になりますよ」 仮に何かの勧誘であるとしても、騙されない自信はある。それに乗ったのは、柳の悪戯な笑いの意味を知りたかった事もあった。 ◇ 「柳さん、集まりってこのマンション?」 少々予想外の展開だった。てっきり貸し会議室か何処かなのか、ホテルのレストランだとかだと思っていた。 港区のタワーマンションの下に乗り付けたタクシーから降りると、柳は慣れた風にスタスタと歩いて行く。
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