さよならの理由

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「俺か? あるぞー」 先生は,軽く咳払いしてから,いつもとは違う真面目な表情で語り始めた. 「あれは……5年くらい前の冬……」 (ごくり……) 「真岡先生ー!」 「あ,爽健美先生! どうされました?」 (気になるううう!!) 図書室にやってきた3学年主任の爽健美 魔笛(マテ)先生に声をかけられ, 真岡先生は対応する為に話が中断された. 「今度先生方での集まりで,カラオケに行こうかと思うんですが,真岡先生は参加されますか?」 「もちろんですよ! いつの予定ですか?」 「来週末ですね.一応午前中,11時くらいからフリータイムで入る予定です.」 「なるほどなるほど,11時からサマータイムですね!」 「なんか唐突に導入された!? カラオケにサマータイムとかないですよ!?」 思わずツッコミの形で先生方の会話に入ってしまった. 「そうですよ真岡先生,サマータイムは冬場限定ですから.」 「冬場限定でカラオケにサマータイム導入されてるんですか!? どんなシステム!?」 爽健美先生ノリよすぎると思いながらも,思わずツッコミを入れてしまう. 「フリードリンクにはするんですが,スムーズに進行していくためあらかじめ最初のドリンクも決めておきたいんですが,真岡先生は何がいいですか?」 そう言いながら爽健美先生は,そのカラオケ店のドリンクメニューがのっているページを自身が持つタブレットに表示して真岡先生に見せた. 「なるほどなるほど,ホットとクール……どちらも種類が豊富ですね.山田ならどれにする?」 「俺行かないんですけど!?」 「参考までにだよー」 「えー…………じゃまあ,俺はクールのファ○タですかね?」 「なるほど? じゃあ俺はそれ以外だな……」 「参考じゃなくて選択肢から除外した!?」 しばらくメニューに目を通すと, 真岡先生は爽健美先生をみながら笑顔で告げた.
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