32歳の昼

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32歳の昼

アンリ「んっ……」 目を覚ますと周りには誰もいなかった。 アンリは慣れた手つきで点滴を外すと起き上がり音のするお店の方に顔を出した。 ママ「あらっアンリ起きたの?ゴメンね!この仕事終われば貴女の所で看病する予定だったのよ!時間かかっちゃったわね!」 アンリ「ねぇママ……ママ何歳なったの?」 ママ「50歳よ!」 アンリ「えっ……50歳?」 ママ「そんなに驚かないでよ!ショック受けるでしょ!」 アンリ「ママ……私は?」 ママ「アンリは32歳よ!」 アンリ「そっか……もうそんな年なのね!」 ママ「6年寝てた間にまた忘れたんじゃないかしら!」 アンリ「あっ!また増えてる!花言葉教えて!」 ママ「アンリが眠っている間にまた種類増えたんだから!先ずはおさらいね!」 アンリは楽しそうにママの話を聞いている。 ママ「じゃあピンクのシクラメンは?」 アンリ「憧れ!」 ママ「一本の赤いバラは?」 アンリ「簡単だよ!告白!」 ママ「じゃあね……かすみ草は?」 アンリ「えっ……なんだっけ?」 ママ「忘れたの?清らかな心よ!」 アンリ「そうだった!」 アンリはとても楽しそうだ。 ママ「じゃあ今から新しく花言葉が出来たのを教えるわね!」 アンリはコクンと頷いた。 ママ「ママの好きなこの花!やっと花言葉が出来たんだって!」 アンリ「アンリだ!」 ママ「そう、アンリよ!ママの好きな花でアンリが赤ちゃんの頃からお部屋によく飾ってたのよ!その花みたいに綺麗な子に育って欲しくてアンリって付けたのよ!」 アンリ「ふーん、それでどういう意味?」 ママ「残念だけどあまりいい意味じゃなかったの……花言葉は皮肉だって!」 アンリ「あまりいい意味じゃないね!でも綺麗なお花だからアンリ嬉しいよ!」 ママ「良かった。じゃあ残りのお花の花言葉も教えるわね!」
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