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やっぱり勘違いじゃないな。 景は夜道を歩きながらそう思った。 ふと視線を感じたのは三日前だ。 依頼があり 待ち合わせをした ファミレスに向かう途中 信号待ちで立っていた時に気がついた。 首だけをその方向へ向けたが誰も居ない。 その時は気のせいか。。と思った。 で。今日だ。 商店街で来週催し物をやるという話になり 力弥を伴って会合に参加し 帰る途中の道すがら 刺すような視線を 背中に受けた。 今度は振り返らず 何もないかのように歩き 角を曲がって すぐに引き返し 店の陰からそっと伺うと 男が一人こちらを見ているのが目に留まった。 だが暗がりで よくわからない。 「景兄。どうかしましたか?」 先を行き 急いで戻ってきた力弥の大きな声に その人物は慌てたように逃げて行く。 ふぅ。もう少し上手くやれば良かった。 力弥は声がデカすぎなんだよな。。 「夜道であんまデカイ声出すなよ。」 八つ当たりを多分に含め そう言うと 力弥はくしゃくしゃと泣き顔になる。 コイツは昔からこうだった。 デカくて腕っぷしもスゴイのに ちょっと叱るとすぐに泣く。 とはいえ。 今まで正直本気にしてなかった。 俺が狙われるなんて。 それも性的対象かも知れないって? そんなモノ好きは元くらいだと思ってた。 「本腰入れるかー。しょうがない。」 俺の言葉に力弥は えっ?えっ。。と焦り出す。 心配するだろうが元に話さなくちゃな。 また囮に。と言ったらダメ。と言うだろうが。 坂田と高嶺と矢野にも 協力してもらう事になりそうだ。 ・・なんかあったらしいけど。 元から話は聞いていた。 理由は知らないが珍しく高嶺が休みを取っている。 なんでもないといいけどな。。 「行くぞ。」と力弥に声をかけ 景はまた力強く 足を前に踏み出した。
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