マイビター ショコラティエ ~ 蜜月の時をあなたと

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楓が怒っている。 文字通り プンプンと。 いや。プンプンどころではない。 ビリビリと俺を震わすくらい怒っている。 声をかけても 完全に無視を決め込み 窓に顔を向けて ちらりともこちらを見ない。 はぁーっとわざとらしくため息をつき 反応を伺うが 全くピクリともしない。 その頑なに一切手が出せず途方に暮れる。 「由々しき問題が発生した。」 俺の声音に 元は電話の向こうで どうした?大丈夫か。と焦っている。 大丈夫じゃない。 全く大丈夫じゃない。 「だから今日は帰れない。 明日の朝からの本家での会合は 鬼頭さんと行ってくれ。午後から合流する。」 既に鬼頭には話をつけてある。 抜かりはない。 完全なる私用のずる休みを隠蔽し 「悪いが頼む。」と電話を切る。 若干心は痛むが 今は元より楓が優先だ。 アイツもよく仕事より景を優先するのだ。 俺がやって何が悪い。 楓が握りしめていた離婚届は 祖父が自分で向こうに送ると言い 「楓はもう何も心配しなくていいから。」 と孫の頭を撫でていた。 「ありがとう。。また遊びに来ます。」 楓は無理矢理笑みを作り それを見た祖父母は家へと入って行った。 じゃあ。帰りますか。 と 車に乗り込もうとした時 離れて様子を伺っていたのか 急に 剛が姿を現した。 「楓兄さん。」と初めて剛から 楓に声をかける。 あまり話ができなかった弟が 声をかけてくれ 楓は嬉しそうに 「剛もありがとう。ごめん。色々と。。」 と返す。 剛は首を振り 大丈夫。と言うと 「俺。大学はそっちに行くから。」と告げる。 「本当に? じゃあ今よりもっと会えるな。」 楓の言葉に剛は頷く。 が 首を傾け ニヤリと笑うと とんでもないことを言い出した。
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