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高嶺が文字通りぶっ飛ばした男は
駅の近くの病院の医者だった。
「ちょっと待て。」と景は高嶺の話を止める。
駅の近く?それって・・・いや。まさか。。
ケンも え。。っと顔を引きつらせている。
「どうしたんですか?」
高嶺に聞かれ ケンと顔を見合わせた。
「まさかとは思うけど。。
それって中本って名前か?」
今度は高嶺と元が驚く番だった。
「景。何で知ってるんです?」 元に問われ
え。。だって。。
「ソイツうちの常連だ。ここ数ヶ月。。」
元も高嶺も途端に顔をしかめる。
でもしょうがない。そんなのわからない。
「そんなのわからないよ。
ソイツが俺を狙ってるとかさ。
そんな風に見える奴じゃないし。。」
ただ・・と思い当たる。
「確かにここんとこ来てないな。。」
振り返ると俺がつけられた事に気づき
力弥が夜道で大声を出したあの日辺りからだ。
急に来なくなる客は沢山いる。
気にも留めたことがない。
「それで店には来れなくなったんですね。」
と 高嶺に言われ
うーーん。それは気づかなかった。。
ぽつり口にすると元はまた顔を歪め
「景はほんとにボーッとしてるんだから。
狙ってる奴が近くにいたなんて・・
考えただけでゾッとする。」
とむくれ始めた。
おっと。これはヤバイ兆候だ。
「ま、まあ。とりあえず何もなかったんだし。
あ。ああ。。矢野には悪いことしちゃったけど。。」
あ。ヤバイ。
高嶺が一瞬ナイフを
突き刺すかのように俺を睨みつけた。
ああ。どれをとっても地雷。。
俺は諦めた。
ため息をつき まずは雰囲気を変えようと
奮発しブルーマウンテンを入れる。
うちで一番高いコーヒーで
せめてものお詫びだ。
中本がいつも飲んでいたのは言わないでおく。
たちまち 豊潤な香りが店の中を漂い
元も高嶺も少し落ち着きを取り戻した。
「で。今 中本はどうしてる?」
俺の問いに高嶺はカップから口を離し
「仁さんがヤサを突き止めたので
今 舎弟を数人交代で張らせてます。
楓がやりたがったんですが顔を見られてるので。」
そりゃそうだな。
中本に気に入られホテルに誘われたと聞いている。
そりゃぶっ飛ばすわな。。
目の前のデカい男を伺い見た。
無表情を決め込んでいるが
内心はきっとはらわた煮えくり返っているだろう。
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