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「まずここはさっきも見せたように エレベーターに鍵を刺さないと 辿りつけれません。 だから他の人は絶対に入れない。」 楓は口をぽかんと開けたまま俺の話を聞いている。 「ここは商業施設が下の階にあるので どの入口から入っても住居施設のエレベーターに 辿り着ける。つまりこの建物に入っただけでは ここに住居があると言わなければわからない。 あ。先に言っておくとこの建物は 表面上は別名義ですが うちが管理する物件です。 ただ絶対にわからない仕組みになっています。 とりあえず 楓の名義で下の階の 賃貸をひとつ押さえておきました。 なのでここの建物に家があると バレてもそこだと言えば 不思議がられることは無いし 住民票もそこで取ればいいので カイシャにも不審がられることは無い。」 どんどん楓の口が更に大きく開く。 「つまりその部屋に行くと見せかけて エレベーターに乗り 鍵を差し込んでここまでくればいいわけで 何かあった場合はそっちの部屋にいけばいい。 ちなみに鍵を差し込んだ場合は行きも下りも ノンストップです。 ここのエレベーターは一番使用する 住居者が少ない箇所なので ほとんど人には会いません。リサーチ済みです。 多分楓の性格上 金の心配をすると思うので 賃貸の分だけ ならば俺に払ってください。 今の家で払っているローンと 変わらないと思います。」 「な・・なんで金額・・」 「相場調べました。」 事もなげに言うと楓の表情がだんだん 驚きを通り越して 呆れ顔に変化する。 「ちなみにその賃貸の方もすでに 家具や生活に必要な物はいれてあるので どうしても楓がどこかに逃げ込みたくなったら そこを使えばいい。 まあ。そんなことにならないように 最善の努力をします。」 ニヤリと笑ってそう言うと 楓は またじっと俺の顔を見つめ 思わずクスリと笑みを洩らした。 「これでマル暴のデカと極道の幹部が 一緒に住んでも問題は何もないと思いますが。 何か反論は?」 俺の問いかけに 楓はゆるゆると首を振り コクンと首を傾げ 「バカな俺がこの説明に反論なんて。。 出来るわけないです。。」と きゅっと俺を睨みつけた。 「これが柏木組の頭脳。。ですか?」 楓の言葉に少し得意げに 「当然です。何事も合理的に。」 ね。と微笑むと 楓はまたくすくすと楽しそうに笑いだした。
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