惑う

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グリーンマイルに行くと 坂田と楓 それに前に見かけた髪の長いマル暴のデカが カウンターに座っていた。 俺の顔を見るなり楓がパッと表情を明るくする。 その可愛らしい顔に応えたいが さすがにそれは出来ない。 坂田だけならいいがこの野郎がいる。 他人行儀に無表情を決め込み 店を出た。 なんとなく いや かなり気分が悪い。 思わず意味も無く元のケツを蹴る。 「イテッ!・・ひ・ひでぇ・・当たんなよ。。」 せっかく楓に会えたのに。 公私混同する訳ではないが 忙しく働いている最中の 予期せぬ楓出没は俺の心のオアシスだ。 それを何故あのロン毛野郎に 奪われなければならない。 あのヘナチョコ野郎は俺の楓の肩を触った。 未だにかなりわだかまっている。 よし。今日は絶対に早く帰ってやる。 これからの仕事のスピードを倍にして。。 まだ横でぶつぶつ言っている元を見て ニヤリと高嶺は不敵に笑う。 そのあまりにも黒い笑顔に 長年培ってきた 元の中の悪高嶺レーダーが 危険を察知し アラームを鳴らし始める。 元は サッとファイティングポーズをとった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「あれって柏木組の?」 葛西先輩の問いに坂田先輩が答える。 「次期三代目とその側近です。 真壁の弟なんですよ。柏木は。」 「え?そうなの?」と目を丸くし 真壁先輩に尋ねている。 「・・そうなんです。すいません。 隠してたわけじゃないんですが 色々事情があって。」 真壁先輩の答えに へぇ。。と 驚きの表情を浮かべていた。 葛西先輩が真壁先輩と久しぶりに会いたいと 言い出したのは 今朝 署で顔を合わせた時だった。 「工藤から聞いたんだけど。 真壁って今 喫茶店と探偵やってるんだって? 何で教えてくれなかったんだよ。」 「あ。。ああ。すいません。 本人があまり言いたがらなくて。」 と坂田先輩が頭を掻きながらそう言うと 葛西先輩にしては珍しく 今から連れてってよ。 と半ば強引にそのままここまで来た。 以前 この店の前で会ったことがあり 「なんだ。ここなんだ。」と 葛西先輩はびっくりしていた。 そういえば。。 あの時も高嶺さん機嫌悪かったな。。 急に腕を取られて車に乗って。 ああ。思い出すと胸がドキドキする。 さっきも一瞬顔が強張った。 後で何でもないですって言っとかなきゃ。。 葛西先輩がどうも気に入らないのかな。 最初からかなり敵対心を露わにしている。
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