始まり

3/7

5979人が本棚に入れています
本棚に追加
/802ページ
俺の店 CAFE GREEN MILEに 坂田が矢野を伴い やって来た。 たまにふらっとこうやって立ち寄ってくれる。 ちょうどランチが終わり キッチンにいたケンが 「景さん。俺ちょっと足りない野菜 買い足しに行ってくる。」と言って スーパーに走っていった直後だ。 「連続殺人事件?」 ああ。と坂田は頷き コーヒーを一口飲む。 「ここんとこ同じ手口で三件。 被害者は全員首を絞められて殺されてる。 腕に複数の薬の注射痕があって その上 下半身が露出した状態で発見され 男性器が縛り上げられてた。」 俺はつい顔をしかめる。 「悪趣味だな。」 とはいえ基本 マル暴は殺人事件などに 関わる事はあまりない。 先日の俺の両親の件は 多分に私情で動いてくれた。 薬方面を調べているのか。 そうなると確かに暴力団が関係している 可能性が高い。 矢野は手帳を出し 俺がまだ刑事かのように 報告する。 「薬もそうなのですが 被害者三人中一人が 暴力団員でした。他の二人は同じグループでは ありませんが愚連隊に所属する若い男性で 司法解剖の結果 三人とも性行為の痕跡があり それが・・・。」 ん。。? 普段報告だけは澱みなくする矢野が 口ごもったのは ドアから柏木組次期三代目とそ の兄弟分が ザッと登場したからだった。 矢野はパッと椅子から立ち上がり 二人にぺこぺこ頭を下げている。 おいおい。。 毎回思うが仮にもマル暴がそれでいいのか? 俺は思わず坂田を見ると 同じように 思っているのかその顔に苦笑いが浮いていた。 まあ。そうなるか。。 元は知り合った当初 嫉妬心から矢野を その鋭く光る灰色の瞳で最大限に睨みつけ脅し 高嶺とはどうもウマが合わなくて 一度かなり怒らせたらしく それから 何かといえばぺこぺこ謝ってばかりいる。 高嶺とだいぶ仲良くなったのかな。と 思っていたのだが。 相変わらず矢野を見て苦虫を噛み潰したような 表情になり 出来るだけ関わらないように しようとする高嶺の態度を見ると そうでもなかったらしい。 まぁ。正反対。水と油だ。 目の前の極道とマル暴が並ぶ異様な光景に はーっと深く息を吐くと 入口の看板クローズにしようかな。。と考えながら 俺は新しくコーヒーを入れる準備を始めた。
/802ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5979人が本棚に入れています
本棚に追加