ムーンライトセレナーデ

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事情聴取が終わり そのまま仕事に 戻ろうとしたら坂田先輩は 首を振り 「少し休め。命令だ。」と言った。 確かに重度の疲労感が抜けず 話をしただけだったのに 身体の震えはなかなか止まらなかった。 その夜 みんなで すき焼きを食べ  とても楽しかったが マンションに帰るとなかなか眠れず ずっと高嶺さんは抱きしめていてくれた。 そのまま坂田先輩に言われた通り 仕事を休んでいる。 高嶺さんは仕事に出ていた。 最初 俺が仕事に出れない間 一緒に休みを取ってくれようとしていたが 仁さんの所に行っていた間に 溜まった仕事があるはずだったし それでなくても忙しい人だ。 「大丈夫です。。」 俺がそう言うと 多分本当は信じていないんだろうな と思ってしまう顔つきで それでも わかりました。と言ってくれた。 負担になりたくない。 気持ちはもう大丈夫だと本当に思ってる。 事情聴取もちゃんと話せた。 でも あれから夜 寝ようとすると 急に不安になったり 怖くなったり 震えが止まらなくなったり。。 身体がまだ整理がついていないのがわかる。 情けないな。。 男のくせに。。 ちゃんとしたい。 いつまでもこんな風じゃいけない。 だから明後日から仕事に出ることにした。 その方がいい。 前を向いて動き出した方が 立ち向かっていける気がする。 高嶺さんにそう言うと 黙ってポンポンと頭を叩かれた。 きっと心配してくれている。 でもこのままじゃいけない。 こんな俺でも一応刑事なんだ。 高嶺さんが支えてくれている。 大丈夫だ。と そう自分に言い聞かせる。 こんな事に負けたりしない。 こんな事で真実を追う事をあきらめたりしない。 少し身体も動かさないと。。 運動は苦手だが散歩は好きだ。 ちょっと外に出てみようかな。。 そう思っていた時に携帯がなり 表示を見ると真壁先輩からだった。 「はい。矢野です。」 「おお。矢野。今から店来れるか?」 なんだろう。 すき焼きの時にお邪魔してから 真壁先輩には会っていない。 「わかりました。」 そう答えると 「スーツで来いよ。」と言われる。 ・・・なんでだろう。 よくわからないが はい。と頷いて電話を切った。 頭にハテナがいっぱい浮かぶ。 とりあえず急いで着替えてマンションを出た。
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