ムーンライトセレナーデ

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真壁先輩のお店に着くと おお。と笑顔で出迎えてくれた。 真壁先輩の笑顔はとても素敵だなぁ。 といつも思う。 三代目さんと一緒に居る時の 真壁先輩は幸せそうで本当に綺麗だ。 中本が逮捕されて 俺に 「悪かったな。。矢野。辛い思いさせて。」と 謝ってくれた。 真壁先輩は悪くないのに。 でもこれでもう狙われることもないんだ。 良かった。。 真壁先輩はバニラのフレーバーコーヒーを 目の前においてくれる。 一口飲むとふわっとバニラの香りに包まれて ものすごく安心する。 「美味しいです。。ありがとうございます。」と 言うとしばらく俺の顔をじっと見て うん。と笑顔で頷いてくれた。 ああ。真壁先輩にも心配をかけている。 仕事に行けていないのも知ってるし 気にかけてもらってるんだな。。と感じる。 でも。なんでスーツ。。 しばらくケンさんも一緒に この間のすき焼きの話をして笑っていると 真壁先輩は 矢野さ。と口を開いた。 「ちょっと悪いんだけどさ。 頼みごとがあるんだよ。」と言う。 「はい。。何ですか?」 これ。と言って 紙袋を出して 俺の目の前に置いた。 「大事なお客さんに焙煎した豆を頼まれてて。 だけど 俺 今日これから探偵業の方で 客と打ち合わせに行かなくちゃいけないんだ。 ケンは店やってもらわないといけないし 中本が逮捕されたから力弥もいないし。」 ずっと真壁先輩の傍についていた力弥さんは その護衛を外れ お仕事の方に戻っている。 そっか。だから俺に。。 「わかりました。どこに行けばいいですか?」 ああ。と言って真壁先輩は紙を出し 「この時間にこの場所に行って欲しいんだけど。 金とかはいらないから渡すだけで大丈夫。」 俺はコクンと頷き その紙と紙袋を受け取った。 立ち上がる俺を真壁先輩は まぶしそうに眼を細めて見て 「くれぐれもよろしくって言っといて。」と言う。 よっぽど大事なお客さんなのかな。 はい。と言って俺は真壁先輩のお店を出て その場所へ向かった。
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