乱される

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店に入ると 楓がぺこぺこ頭を下げ 「すいませんでした。」と謝っている。 景は 「大丈夫だから。」と言って 俺に視線を向け「解決か?」と聞いてきた。 さっきの剛の捨て台詞を考えると 完全に解決していないような気がするが 説明するのもめんどくさい。 頷いておくと そっか。と笑顔を見せた。 嵐のような剛の襲来に 一同 疲れが見える。 「さて。ケン 看板お願い。」 ケンが看板をクローズに変え 景が全員分のコーヒーを入れ 出し終わると 坂田がおもむろに口を開いた。 「中本がDNAの提出に応じたそうだ。」 景が パッと顔を明るくするが 坂田の表情の厳しさに途端に眉をひそめる。 「ただ 頑として 連続殺人には 関わっていないと言っているらしい。 どうも他の件がバレるのが嫌で ずっと 拒否していたらしい。」 「・・他の件って?」 楓が手帳を出し 「約一年前 ラブホテルで男性の変死体が 見つかった事件です。」 楓は淀みなく概要を説明する。 一度 手帳に書くと絶対に忘れないと 言っていたが ほとんど手元を見ず 話す姿に 本当なのだなと感心した。 「死因は心臓麻痺でしたが 手首に 縛られた後がありました。 この事件に 中本が関わっているようで 検出されている DNAとの照合を 恐れて 拒否していたようです。」 楓の説明に え。。と景は驚き 呟く。 「じゃあ 中本は連続殺人の犯人じゃ。。」 坂田は頷き 「ああ。アイツでは無いかもしれん。」 他に犯人が。 俺はさっきの違和感に意識を持っていく。 「高嶺?」 考え込む俺に 元が気づき そっと声をかけてきたが なんでもない。と 小さく首を振った。 まだ 話す段階ではない。 気のせいだということもある。 楓も心配そうにこちらを見ていた。 表情を変えたつもりはないが コイツらには 通用しないな。 大丈夫と意味を込め 少し笑みを返した。 ケンが難しい顔をして 「実はさ。。」と言い出す。 「ヤクの取引の話 全く聞こえて来なくなって。 愚連隊の連中 なんかかなり ビビってるんだよね。 話しようとすると逃げ回ってさ。」 楓も頷く。 「最近 集まる場所も変えているみたいです。 前 よく見かけた辺りにはいません。」 二人の報告に うーん。と坂田は腕を組み 考え込む。 「何らかの圧力がかかってるな。 シッポを掴ませないようにしてるのか。。」 楓が あの。。と口を開き 坂田に向かって 声をかけた。
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