乱される

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本当は心配で心配でしょうがない。 信念に突き動かされている楓は また 一からコツコツと歩き回り 真実にたどり着くのかもしれない。 だが その過程には沢山の危険が含まれている。 政友会が 最近またチンピラを使い ヤクを撒いているとの情報があった。 その上 うちのシマの客がらみで 政友会のチンピラといざこざがあり 力弥が収めたとの報告も俺の耳に上がっている。 ケンや楓の報告も含めて考えると 今 街は正常ではなく あちこちに問題が 見え隠れしていた。 元は俺の心情を慮ってか チラッと横目でこちらを見たが 仕方がない。 楓には楓の仕事がある。 俺が止める事は出来ない。 坂田も楓の頑固さは承知していて しょうがないな。と諦めると 「矢野。無理だけはするなよ。」 と許可を出した。 はい。と 楓は頷いた。 ガイシャの写真を出し じっと見つめている 楓を眺め この人は本当に強いなと改めて思う。 あんな目に遭い その犯人が自分たちが 追っていた奴では無かった。 ガッカリしているだろう。 だが それでも先に進もうとする。 俺は心を決める。 俺には俺のやり方がある。 もう一つの計画を実行に移すか。 心配しているだけではいられない。 頭で 今日のスケジュールを思い出し 全員がコーヒーを飲んだり 煙草を吸い始めたのを確認してから 「楓。ちょっと。」と呼び 店のドア前まで引っ張っていった。 何だろう。。とポカン顔の楓の耳元で 「今日 終わったら迎えに行きますから 連絡して下さい。」と言うと 楓はコクンと首を傾げ 「わかりました。。なんですか?」 不思議そうに俺の瞳を覗き込み 問いかける。 俺はニヤリと笑って 「特訓です。」と告げた。 へ。。と更に口を開けた楓の頭を ポンポンと叩き 「じゃあ連絡待ってます。」と言って 元に目線で合図を送り え。。え。。と戸惑っている楓を残し 元と連れ立って 景の店を後にした。
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