乱される

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ふぅ。と息を吐き 元に電話を入れる。 「・・俺だ。 ・・ああ。まただ。 龍は迎えに行ったか。・・ああ。 そのまま帰っていい。・・・調整して 明日本家で打ち合わせだ。 久家さんには鬼頭さんが連絡している。 ・・ああ。わかった。朝 事務所で。じゃあな。」 電話を切ると視線を感じ そちらに目線を送ると 聞き込み中だったのか野次馬に紛れ 楓が佇みこちらを見ていた。 「高嶺さん。。またですか。」 辺りをすっと見回し ソッポを向いたまま 小さく頷くと 楓は眉をひそめ 視線を外し なんで。。と俺にしか聞こえない小ささで呟いた。 一度 聞き込み中の楓が うちのシマで暴れているチンピラを見つけ すぐに電話をくれた事があった。 たまたま出る事が出来ず 楓はすぐに坂田に連絡し 警察が先に駆けつけた。 普通 先に警察が介入すると 情報が入らないが 坂田が気を利かせて 連絡をくれ 何者かがチンピラに金を渡し 店で暴れるよう指示を受けていた事がわかった。 人目がある。楓には近づかず それでも言葉をかけようと思った その時 また背中にピリッと違和感が走った。 またか。。 楓か。俺か。 景の店に入る時感じたものと同じ。 剛があの場に居た時は感じなかったが。。 俺たちの関係まで把握されているかは わからないが 知り合いだという事は 確実に 気づかれている。 今 また二人でいる所に送られている視線を受け このまま連れ立って帰る訳にはいかない。 ヤサは絶対に把握されてはならない。 俺は楓に背を向け 今度は坂田に電話をかける。 相手が出たのを確認し 声のトーンを下げた。 「・・坂田さん。もう着きますか。 ・・はい。ここに楓が居ます。・・はい。 誰かに家まで送らせて下さい。・・ 何者かがつけているかもしれません。」
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