温もり

2/9

5983人が本棚に入れています
本棚に追加
/802ページ
これはなんだろう。。 坂田先輩に連れられて行った料亭には ズラーッと怖い顔をした人達が並んでいた。 坂田先輩は柏木組の組長さんと 昔から知り合いで よく情報交換をしているらしい。 その組長さんともう一人貫禄のある人が上座に座り 長机の上座近くに三代目と真壁先輩がいる。 その横には無表情の高嶺もいた。 俺と坂田先輩は上座に座るよう言われたが 坂田先輩はともかく 俺は無理です。。とぶんぶん首を振ると 高嶺はため息をついて 俺の手を引き自分の横に座らせた。 後始末に時間かかって もう何ヶ月も立っちゃったけどさ。 事件解決のお礼がしたいんだって。 真壁先輩のお店に行った時 そう言われ やってきたのだが まさかこんなにヤクザさんがいるとは 思わなかった。 マル暴になってから初めてこんなに囲まれ 内心かなりビクビクしている。 「では。乾杯。」と声が上がり 一斉に大きな声で乾杯と唱和されると その場はあっという間に大宴会になった。 その崩れっぷりにポカンと口を開けていると すっと高嶺が酒を勧めてきた。 「あ。すいません。俺飲めないんで。。」と 頭を下げると 無表情はピクリとも動かず らしいですね。と言われる。 それは意外では無かったらしい。 横をふと見ると真壁先輩が三代目と並んで 楽しそうに笑っている。本当に良かった。 俺の視線に気づき ニッコリ笑みをくれる。 なんだかとても嬉しくなり つい俺も 笑顔になった。 怖い人達ばっかりだが みんな真壁先輩が 大好きなんだろう。 すごくアットホームな雰囲気だ。 少し羨ましい。 俺の顔を高嶺はじっと見ていたが 何も言わずに 黙って酒を飲んでいた。
/802ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5983人が本棚に入れています
本棚に追加