乱される

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後についてきた力弥に 「いいか。今から全部のシマを警護する 手筈を取る。舎弟・下部組織の人間を 総動員して事に当たらせるからお前が その陣頭指揮を執ってくれ。」 俺の言葉に力弥は 力強くはい。と頷く。 年上で景の幼馴染でもある力弥は 立場的に上に立つ俺を恨みもせず いつもしっかりと働いてくれる。 「なんとしてでも元が出張る前に 事を収めるぞ。」 力弥は頷き 俺からの指示を聞くと では早速。。と足早にその場を後にした。 次は事業の仕事の調整か。 また携帯を取り出し ふと思い出し 辺りをそっと伺って楓にLINEを入れてみる。 【一人で行動してませんね?】 【否】 【今どこに居ますか?】 【署】 相変わらず一文字返しだ。 ならば・・と思い 【今日は何時に帰りますか?】と入れてみる。 何時と書くにも最低二文字だ。 さてどうする。。。 こんな時に不謹慎かもしれないが 俺も少し癒されたい。 多分しばらく思うように楓には会えないだろう。 これからの目まぐるしい時間を考えるだけで 憂鬱になる気分を少しでも 上へ向かせて事に当たりたい。 しばらく時間がかかっていたが 【?】一文字が返ってきた。 まだわからない。という事か。 本当かどうかはわからない。 うーーん。うーーん。と考えている 困った顔の楓が目に浮かんでくる。 可愛いな。 無理に一文字にする必要など無い。 これだけやり取りしているのだから 忙しいのでは・・などと気を遣う必要はない。 そこが楓のやさしさだ。 それと 天然か。 【帰る時連絡しますね。】 と打つと すぐに 【はい!】と返事が返ってきた。 【三文字です。】とだけ返してやる。 あ。と口を開けているだろう。 その顔を想像し クックッと思わず一人で忍び笑い やり取りを終了した。 さて。頑張るか。 楓も頑張っている。 早く鎮圧してこちらを落ち着かせたい。 楓の件も気になっていた。 俺はすぐに取引先に電話をかけ 出た相手と打ち合わせを始めた。
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