繋がる

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深夜 病院に忍び込んできたのは 政友会の工藤の所のチンピラだった。 金を貰い 俺を殺すよう言われたという。 力弥が締め上げ吐かせた所 それを依頼してきたのは 工藤の所へ電話をかけてきた男で その時工藤に内緒でやってくれれば 金をやると言われ その事は報告せず 金を受け取り 事に及んだという事だった。 政友会と柏木組の抗争に結び付く話だ。 さすがの工藤もその話を聞けば絶対に止める。 案の定 事が発覚すると工藤は青くなり 上を通して正式に謝罪を申し入れてきた。 「帽子にサングラスという何の特徴も 掴ませないような風貌だったそうだ。 背は高く痩せた男だって話だが 全く役に立たない。」 鬼頭は病室で俺に苦々しく そう話した。 横で 元も難しい顔をしている。 シマを荒らすように言われた奴らが 金を貰った男の風貌も特徴がなく 同じような話だったはずだ。 「その男はお前がここに入院しているのを 分かっている。 お前が刺された事を知っていて かつ 死んではいない事もだ。」 元は首をひねりながらそう言う。 そうだ。 その事を知っている人間はごくわずかだ。 楓がまたつけられているのか。 仕事の帰りにここに来る道中を 狙われたりしたら。。 心配で背筋が凍る。 俺を殺した後にソイツが狙うもの それは楓だ。 俺の組が楓を守れないように混乱に陥れ 楓を手に入れようとしている。 腹の底から怒りが沸き上がる。 絶対にそんな事はさせない。 「大丈夫だ。 坂田さんと打ち合わせて仕事中は 他の刑事が一緒に行動しているし カイシャからこちらに来る時は 必ずうちの舎弟が矢野さんにわからないように 護衛についている。」 元は俺を安心させるように力強くそう言った。 思わず ホッとする。 「悪いな。今 人手も足りないのに。」 シマの騒ぎはだいぶ落ち着きを見せていた。 最近 元が夜 街に出るようになり その三代目のオーラで  周りを無言で威嚇しているらしく 「若が動いていると噂が流れているので  はした金で動く奴も 出てこなくなっているようだ。」 鬼頭は複雑な表情でそう口にした。 あまり元に動いてほしくないのだろう。 表に出ればそれだけ危険も増える。 元は組にとって大事な存在だ。 だがその反面 影響力も大きい。
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